EGP / IGP
インターネットでは I アドレスの全空間を ICANN が管理しており、AS (Autonomous System, 自律システム) と呼ばれる組織に IP アドレスをまとめて割り振っている。AS とは、同一のポリシーにより管理され管理されるネットワーク群であり、2 オクテットまたは 4 オクテットの AS 番号が ICANN から割り当てられている。さらに、AS は独自にポリシーを定めて経路情報を維持運用し、他の組織に IP アドレスを割り当てている。
これら AS は具体的には、大規模な ISP 、地域ネットワーク等である。さらに、AS が IP アドレスブロックを割り当てる、より小規模のサイトには、中規模の ISP 、企業、大学等がある。
このように経路情報は階層構造で管理されており、そこで使用されるルーティングプロトコルもそれぞれ異なっている。プロトコルを大別すると、AS 間で使用される EGP (Exterior Gateway Protocol)、AS 内で使用される IGP (Interior Gateway Protocol) に分割できる。EGP では BGP (ver4)、IGP では OSPF 、RIP (ver2) が広く用いられる。
なお、AS 番号 64512 ~ 65535 はプライベート AS 番号と呼ばれ、自 AS 内で閉じたネットワークでのみ使用することができ、インターネットに経路広告してはならない。プライベート IP アドレスをインターネットで使用できないのと同様。
EGP / IGP については、以下のページがわかりやすい。
RIP
RIP は AS 内を接続するルーティングプロトコルであり、距離ベクトル方式が採用されている。
RIP の概要は以下の通り。
EGP / IGP の種別 | IGP |
---|---|
経路制御の方式 | 距離ベクトル方式 |
下位プロトコル | UDP |
通信形態 | マルチキャスト (224.0.0.9) |
経路制御の特徴と仕組み
RIP は比較的小規模な AS 内で使用されている。OSPF と比べると、シンプルな経路制御の仕組みをもち、以下の通りとなる。
- 経由するルータのホップ数が最小の経路を選択する
- ルータが広告するのは、ルーティングテーブルにエントリされた全ての経路情報である
- 上記 2 のやりとりは死活監視も兼ねている
- RIP はバージョン 1 (RIPv1) とバージョン 2 (RIPv2) の二種類が存在し、前者はサブネットマスクに対応していないが、後者は対応している
1 番目の特徴にあげた経路選択は、経路ベオクとる方式と呼ばれている。これは宛先ネットワークとそのサブネットマスクが等しい経路情報が複数存在する場合 (ロンゲストマッチでは同等の経路である場合) 、経由するルータのホップ数が最小の経路を選択する仕組みとなる。
RIP はホップ数が 15 を超える経路は、経路選択の対象から除外する。つまり、宛先に到達可能なホップ数は 15 が最大となる。
2 番目と 3 番目の特徴の通り、経路広告は死活監視を兼ねており、たとえ経路情報が変化しなくても、一定期間 (30 秒) で実施される。経路障害が発生したと判断する時間の長さはその 6 回分 (180 秒) である。
このため、広告する経路情報が多いと帯域を圧迫してしまう恐れがある。よって、RIP は小規模なネットワークで使用するべきである。